今度は俺が、お袋を静かにたしなめた。


「あら、信ちゃん。顔はどうでもいいのよ。秋雄ちゃんが連れてくる娘だったら間違いないわ! きっと器量の良い子だと思うわよ~女はやっぱり、愛嬌よ」


――ふんっ。夢見る夢子ちゃんだな。愛嬌はお袋だけで十分だ。


明日はその女を、じっくり品定めしてやろうじゃないか。ブスだったら遠慮なく、言い放ってやろう。


予行練習のように妄想し、鰹ダシのきいたアサリの味噌汁を啜った。


「俺、明日スーツとか着なきゃいけない?」


「小奇麗な格好でいいんじゃないか? お父さんも楽しみだなぁー! 相手の子は27歳で若いんだろう?」


――ふーん。俺よりも年下か……。


それとも手厚く迎えて、女を紹介して貰うか? やべぇ! そう考えると、少しだけ楽しみになってきたかも!