「あははははっ、まぁそうカッカするなよ。」


早乙女さんは心底楽しそうに笑っている


そしてふと私の方を見た



「で、え-っと…花音ちゃん…だっけ?」



「あ、はい!如月花音です!」



「うん、花音ちゃん、

海斗をよろしくね。」



早乙女さんから先ほどの笑みは消え

どことなく真剣な眼差しで私を見る



「…え?」


突然そんなことを言われてなんて返せばいいのか分からず困ってしまう




「偽装結婚なんて、突然のことで混乱してると思うけど…


海斗は口は悪いけど、中身はイイ奴なんだよ。
まだまだ半人前だし、
誤解されやすい性格だけど…責任感は人一倍だからさ。

『偽装』とはいえ、花音ちゃんのこと…ちゃんと守ると思うしさ。


コイツが親父さんの会社を継ぐまでの間…

不安だと思うけど、『奥さん』として出来る限りのことはしてほしいんだ。
海斗の為に。」



早乙女さんは私に向かってハッキリとそう告げた。