「プルプル~プルプル~」
枕本に置いた筈の
携帯電話を布団から
手を伸ばして弄る様に
探す長岡に、
まだ明けきれていない
朝霧の残る時間に
長岡の携帯の着信音が
学会の会合で東京に
来ていた、
宿泊先の大久保の
ビジネスホテルの
ベランダからの光りが
携帯を照し、
その電話が
事の始まりだった…

長岡は電話を耳に近付けて
眠い目をこすりながら
電話に出た。