私は彼に愛されているらしい2

「何やってんですか、お2人。」

仲よく頭をこすり合わせそうな勢いの舞と君塚を見て出社したばかりの沢渡が眉を寄せて怪訝な顔をする。

背後から登場した沢渡からすれば、いまの舞と君塚は不倫状態にしか見えなかったようだ。

そんな沢渡の心境を気にすることなく舞と君塚は仲よく同時に振り返り、笑顔で朝の挨拶をかわした。

「あら、沢渡くん。おはよ。」

「おはよー。」

「おはようございます…。」

お前に話すことは何もないと追い払う様な笑顔を浮かべる舞と君塚、そんな2人に不完全燃焼な思いを抱えて沢渡は自席へと向かっていく。

その様子を2人は意地悪そうな顔で見送った。

「こっちはこれからかなー?」

「そうね。」

「あ、舞さん。依頼してもいいですか?」

いち早く仕事モードに切り替えた君塚が舞に声をかける。それをきっかけに談笑していた空気から就業中の湿度の低い空気へと変わった。

誰もが集中して業務に取り組んだ午前中が終わろうとしている。

「只今戻りました。」

昼休憩を知らせるチャイムが鳴った少し後で有紗と東芝が自席へと戻ってきた。

「おかえりー、お昼用意してあるから行こ行こ。」

「舞さん。ありがとうございます。」

「お帰り、有紗。」

みちるも参加して3人は一緒に歩き始め目的地へと向かう。