私は彼に愛されているらしい2

「狭き門となりつつある私をなんとかしようとさ?か弱い女の子計画って名づけて色々頑張ろうとしたけど結局は君塚さんたちに大笑いされて終わった。」

口をへの字にして不機嫌な感情を素直に顔にだした有紗はおそらくあの瞬間を思い出している。

思いもよらない有紗の行動を聞かされ、一瞬固まった大輔もさすがに堪えきれず噴き出してしまった。

「あはは!なんだそれ。無理だろ。」

「だーかーら!せめて入口を広くする為に柔らかな女らしい恰好をするようにしてんの。で、何飲むのよ!?」

遠慮なく大笑いをする大輔に気を悪くした有紗はこの話を打ち切ろうと話題を変えるためにキッチンの方へ向かうべく足を踏み出そうとする。

しかしその行動は大輔が手を伸ばして進路を妨げたことにより止まってしまった。

不思議に思い、まだ少し不機嫌なままの表情で睨むように大輔を見上げる。

「有紗の合コン着っていつもそんなに女の子らしくしてんの?」

突然変わった話題に聞き返しそうになるが、改めて自分の服装を見て有紗は首を傾げた。

女の子らしい。

大輔が口にしたキーワードがいまいち有紗の中でピンとこない。

「こんなの普通でしょ?皆だいたいスカートじゃん。でも今日のギンガム男には地味だなんだと馬鹿にされたけどね。他の子はもっとカラフルなオシャレしてたから。」

今日の有紗は黒のVネックのニットに赤と緑のチェックフレアミニスカート、それにニーハイブーツだ。

これと言って特に気合を入れた訳じゃないし色味もかなり落ち着いている。ギンガム男の言い分は分かるだけに余計に腹が立ったのだが今となってはどうでもいい。

髪型だってゆるふわパーマをかけた髪をサイドでまとめただけの簡単なもの。確かに合コンしようにしては少し地味かもしれなかった。

「…なに?」

黙ったままじっくりと有紗の姿を観察する大輔に目を細める。

「俺はあんまり見たことない姿だよな。」

「だって大輔に会うのにこんな恰好しないでしょ。友達と恋人探しとは違うって。」