私は彼に愛されているらしい2

「そうなんですよね。」

「あんた仕事人間になるんじゃないの?」

「仕事人間って…当分は恋愛最前線から遠のくっていう話ですよ。」

「同じじゃないの。」

厳しい舞のつっこみに有紗の顔も手も同時に止まってしまった。そして小春とのやりとりを思い出してため息を吐く。

「強引に頼み込まれたんです。高校時代の友達からどうしてもって。仕事に打ち込む宣言の前にねじ込まれていたことをすっかり忘れてましたよ。」

「あらら。まあ若いからね、楽しんできなさいよ。」

「気乗りしません…。」

この先のことを考えるだけでため息が止まらなかった。

「しかし理系女は恋愛にタンパクかと思ってたんだけど、有紗見てると偏見だったんだなって思うわ。」

舞の声が遠くに聞こえ有紗は苦笑いをする。それは答えたくないという一種の表現方法だったのだと有紗は自分で分かっていた。

それよりも明日の予定を考えるだけで気が重い、それは帰宅した後も眠る前も目覚めた後も変わらない。

朝から小春のダメ押し催促メールが来て元々上がらない気持ちが余計に沈んでしまい素直に項垂れた。

行きたくない。でも借りもあるし約束は約束だ。

「今日18時に駅前の居酒屋ね。了解…。」

呟きながら返事をして有紗は布団に潜り込んだ。

どうせ夜に疲れ果てるんだ、昼間は極力疲れないようにしよう。そう考えて昼過ぎまで眠ることにした。


そして迎えた約束の時間。


「今日の出会いにかんぱーい!」

弾け気味のテンションで盛り上がる乾杯にただ一人ダダ下がる有紗の気持ちは底なしだった。

今回の合コンは高校時代の友人である小春が主催したものだが、どうにも合わないタイプで馴染めそうにないと最初から分かっていたのだ。小春が誘う合コン相手は決まってテンション高めの男が揃う、そういうタイプは自分に合わないと断っておいたのに今回は大丈夫だと強引に推し進められて今の結果に至っている。