どう考えても思い付かないあたりが東芝らしいと諦めたが意外な言葉に目を見開く。

「許可は貰えました。東芝さんも今日はコアタイムが過ぎたら帰るらしいですよ。」

「は!?東芝くんが!?」

「…それは珍しい、よね?」

「そうですね。」

思わず反射的に出てしまった大きな声に慌てて口を塞ぐ舞の横で、みちるも静かに驚いていた。

コアタイムなんて定時よりも早い時間だ。

まだまだ日も高く子供たちが学校から帰りだすような時間に東芝も帰宅するなんて一体何があったと言うのだろう。

それこそ次の車両に移動するからやることがないのかもしれないが、東芝に限ってそんなことは有り得ないと勝手に思い込んでいたのだ。

「だから私も許可が貰えましたし、月曜からは気持ち切り替えて新しい場所でスタートです。」

「今日は大輔くんと会えるの?」

「はい。」

「いい週末になるといいね。」

大輔の話題を出すと少し恥ずかしくなるが、幸せを願ってくれるみちるの言葉に有紗は嬉しそうに笑った。

今日は大輔も早めに仕事を切り上げて家に来ると言っている。

土日もずっと2人でいる予定だ、そう考えるだけで有紗も表情がゆるんでしまう。

「あー、でもまだ信じられない。あの東芝くんが早く帰るなんて。」

納得が出来ない舞は未だに東芝の事件が頭から離れないようだった。

3人の中で一番長く東芝と関わっている分、信じられない気持ちが強いのだろう。