私は彼に愛されているらしい2

挑む様な目で睨むように力を宿した有紗が引く様子は全くない、そして有紗が言う事の方がもっともであると舞も分かっていたのだ。

ここは会社で仕事をするための場所、そして今は就業中で作業端末の前。世間話ができる要素が全くない。

分が悪い。

みちるにも待つように薦められたこともあって返す言葉が見つからなかった。

苛立ちを隠せないため息が舞からもれる。

「…どうぞ。」

険悪な空気は会話が聞こえていない人たちにも伝わる様で2人はいつの間にか注目されていた。

舞に説明をすると有紗はそのまま打ち合わせへと大部屋を出て工場を向かう。

「吉澤さん、どうかしたのー?」

「知らないわよ、そんなの。反抗期よ、反抗期。」

心配か好奇心か君塚が様子を見ながら舞に声をかけるが、不機嫌なままの舞は苛立った声でそれを跳ね返した。

上手くいかない事への憤りが舞の表情をどんどん歪めていく、それは怒りよりも悔しさや悲しさに似ていると舞も分かっていたのだ。

頬杖をつくのもなんとか泣きそうになる自分を誤魔化す為だったのかもしれない。ここで席を立てば負けたような気がしてそれだけは舞のプライドが許さなかった。

仕事だ仕事。

そう自分を奮い立たせて舞は端末と向き合い続けた。

急いで出席した打ち合わせは思いの外うまく進んで有紗は肩の荷が下りた気分で本館への道のりを歩いていく。

最近では東芝抜きで1人で打ち合わせに参加することも増えてきた。最初の内は女だからと色々何か言われる覚悟でいたのだが、女というものは武器にもなるようで笑顔をふりまけばそれで相手の対応が柔らかくなるということも覚えたのだ。

勿論そこは上手く使う時にしかやらないとっておきの技にしてある。