私は彼に愛されているらしい2

しかも仕事の話とはいえ、久しぶりに有紗から話しかけられた形にある。

舞はどうしても仕事より気になる話題を掘り下げたくなった。

「有紗、何か進展あったの?」

「えっ?あ、はい。他部署との打ち合わせでこの図面の寸法が変わったから…。」

「そうじゃなくて、指輪。」

鋭くむけられる舞の視線に有紗は瞬きを重ねる。最初、何を言われているのか全く理解できなかったのだ。

有紗の頭の中は完全に仕事だけになっている、この図面の中に指輪と称されるような場所があったか真剣に探してしまった。

「あんた、また逃げたの?そんなんじゃ今度は逆に逃げられるわよ?」

「はい?」

「いつまでたってもウジウジして相手に悪いと思わないの?嫌なら嫌だってちゃんと言ってあげなさいよ。」

思いがけないタイミングからの説教が始まり有紗は不機嫌な表情になってしまう。目を細めて眉を寄せ、言葉なく態度で反抗してしまった。

腹が立ったのだ。

何故いまここで、このタイミングでその話をするのだろうか。

苛立ちがふつふつと自分の中で大きく膨らんでいくのを有紗は感じている。

「そんな子供みたいな態度とってると、こっちも。」

「舞さん。その話はやめていただけますか?」

「はあ?そんなこと言ってるから…。」

「仕事の話をしたいんですけど。」

饒舌になりつつある舞の言葉を二度遮ると有紗は終止符を打たせるように語気を強めた。