私は彼に愛されているらしい2

「…お見通しですか。」

「そう?」

「少しずつは見ていこうと思っていますよ。」

「それが出来つつあるのは仕事見てると分かる。逃げなくなってるからね。」

逃げるという言葉に反応した有紗は苦笑いをして視線を足元に泳がせた。

どうも最近自分の付いて回るこの言葉は長年ずっと共に動いてきたものだ、そう簡単には離れられそうにもない。

「私、やっぱり逃げてるんですよね。」

仕事に集中して考えないようにしていることが沢山あった。

仕事のせいにするつもりはないが、やはり距離をとろうとしているのは甘えや逃げからきた考えなのだろうかと口元に力が入る。

「持田さんは逃げる癖があるけどね、俺が逃げない訳じゃないの知ってた?」

「え?」

「力を抜くことと逃げることを一緒にすれば追いつめられるだけ。向き合うことも大切だけど、わざと置いておくことも必要ってことだね。」

「東芝さん…。」

「誰が味方か分かってるんだったら、甘え方も考えた方がいい。」

ため息交じりに告げられ有紗は顔を赤くしてしまった。

「…肝に銘じておきます。」

「それは早い内に習得してくれると周りが助かる。」

「…承知しました。」

手の指先だけをひらひらと動かす仕草は話は終わったと言っているらしい。

「舞さんにお願いしてきます。」