私は彼に愛されているらしい2

大輔だけじゃない、周りの人間の言葉にも振り回されないで自分の意思をしっかりと持つことだろう。

出した答えに納得する、それが何よりも大切な事なのだ。

「有紗、結婚したいって思ってないんでしょ?」

結婚願望が無いと舞に言われた時が思いだされて有紗は不安な表情を浮かべる。

「私は結婚してないけど、有紗みたいに結婚するかどうかまでなったことあるんだよ。だから何も分からないって訳じゃない。結婚は思うよりも難しいモノだって知ってるつもり。」

何も知らないでぼんやり憧れていた時期が懐かしいわと肩を竦める仕草は、少しでも有紗の気持ちを和らげようとしていることが伝わってきた。

「覚悟とか…約束とか…そんなんじゃないのよ。もっと根本的なもの、その人をどこまで受け入れられるかでしょ?」

「…うん。」

消えそうな声だが、久しぶりに有紗の心に届いた気がして朱里はふわりと微笑んだ。

やはり同じ気持ちだったのだと思えば、より有紗の置かれている状況が見えてくる。朱里はゆっくりと瞬きをすると困ったように息を吐いた。

「好きになった人だもん、離れるのって怖いよね。」

「…うん。」

「だからといって踏み込める訳じゃないし、手放す勇気もない。でも確実に居心地は悪くなってく。」

「…うん。」

「有紗。」

朱里は自分が体験してきた思いを口にすれば同意する有紗に危機を覚えて表情を曇らせる。

実らなかったとはいえ一度は強く身近に意識した結婚、縁結びできなかった理由もいま振り返ってみればよく分かるし今後の自分の指針にもなった。