私は彼に愛されているらしい2

全て有紗が悪いのだと、そう追い込まれている自分がいる。そして諦めようとする弱い心が支配していくのだ。

まるで反抗期の子供のような気分だと背中が丸くなっていくのが分かる。

結局は我が儘が過ぎただけだと、自らを否定してしまった。

「ごめん、今日は私の態度が悪かった。」

睨んだまま腕を組む大輔からは怒りが治まらないと息がもれる。

「結婚はやめない。」

少し暗い言い方の有紗に大輔は盛大なため息を吐いた。

それは確実に有紗の中に蓄積される記憶だと心が重くなる。

「疲れてんだよ。今日は帰るからちゃんと睡眠とれよ。」

そう言って有紗の頭を撫でると大輔はそのまま玄関のドアを開けて帰って行った。

10年先、そんな声が有紗の頭の中で繰り返される。

もし大輔の言うことが当たればこの先当分の間は結婚が出来ないということだ。

人並みの幸せは掴みたい有紗にとってその予言は不吉すぎる、だからきっと怯んでしまったのだろう。

適当に言われたことかもしれない、でも大輔がある程度の確信を持って口にすることは有紗もよく知っていることだった。

怖くなったのだ。

だから目の前にある藁を掴んでしまった、咄嗟の出来事だった。

どれだけ臆病なのだろう。

膝を抱えたくなるような状況に耐える日々はいつまで続くのか分からない。

有紗は1人にされた解放感と見捨てられたかもしれない虚無感に挟まれてまた1つ感情を黒く塗ってしまった。

こんな状態で仕事が出来るのだろうか、そんな不安が過るがそれでも気持ちを切り替え奮い立たせて仕事をしなければならない。