私は彼に愛されているらしい2

「何が不満なんだよ。有紗の要望満たしてるだろ?」

自分でも言葉に出来ない混雑した感情に大輔が怒るのも無理はなかった。

しかしそうは分かっていてもどうしようも出来ないのだ。自身でも解決できない苛立ちそうな心のモヤモヤは有紗でも地団駄を踏みたくなっていた。

それがどうやら顔に出ていたらしい。

「お前本当に結婚する気あんの?」

大輔の言葉に下がっていた視線を上げればたちまちに武者震いがした。

明らかに大輔は怒りの感情で有紗に言葉を投げている、それがカンに触ったのだ。

「やることいっぱいあるんだぞ?挨拶も行かなきゃいけないし式場だって。」

「あのさ、そんなにすぐに結婚しなきゃいけない?」

「は?」

大輔の言葉を遮ったのは有紗しかいない。

しかし大輔には信じられなくて、それと同時にさらなる怒りが込み上げてきた。

何も喧嘩腰に言われたわけではないがそう捉えてしまったのだ。

「もうちょっと先でも。」

「俺、結婚前提でって最初に言ったよな。」

「そうだけど。」

「お前さ、情緒不安定だかなんだか知らないけど、今結婚しないと10年先にしか結婚できないぞ?」

「10年てオーバー…。」

「どこがだよ。今のがしたらタイミングなんてそうそう来ねえよ。どうするんだよ、結婚やめるか?」

畳み掛けるように投げられる強い言葉、有無を言わさず折れるように仕向けられた空気は容赦がない。

まるで何か暗いベールに包まれたような感覚に有紗はまた1つ何かを落とした気がした。