私は彼に愛されているらしい2

予想外な初々しい反応に有紗もつられてくすぐったくなった。

こんなに喜んでくれたのならもう少し手の込んだ事をしても良かったかもしれない。

そんな気持ちを抱いて有紗は前を見つめる。

今日は物件候補の見学に行く日だった。

プレゼントのチョコレートを後部座席に置いて車を発進させれば目的の場所を目指していく。

今日見られるのはおそらく2軒と事前に確認を取ったため、そのつもりで2人も来ていた。

なるべく時間をかけたくないので要点だけは抑えておきたい。

「ここは駅まで徒歩15分ですから、通勤にも便利な場所ですよ。」

営業マンのトークが何も置かれていない部屋の中に響いた。

まず1軒めに訪れた物件は新築ではなかったが、リフォームしたての部屋はほぼ最新に近い設備があり便利に使えそうだ。

間取りもいい、日当たりもいい、場所もいい。

思ったよりも好条件だという手応えもあった。

しかし。

「なかなか良さそうだよな、有紗。」

「うん、キレイ。」

部屋の中を自由に見回る大輔とは反対に有紗はその場からぼんやりと部屋の中を見渡した。

リビングの入口付近からは大きな窓が気持ちいい日光を迎え入れている。

キッチンスペースに移動しても手を後ろで組んだままとりあえず眺めているだけだった。

「どうぞ、扉は開けて頂いても構いませんから。」

もてあましているように見えたのか、営業マンがいい笑顔で有紗に吟味するよう促す。

貼り付けた笑顔で会釈すると有紗はとりあえず取っ手に手を伸ばした。