私は彼に愛されているらしい2

図面提出までの助走期間はまだほんの少しだけ気持ちに余裕があった。

舞が何か言っていたが有紗は気にせずに大輔の為に用意したチョコレートを玄関先に準備する。

バレンタインは土曜日ということもあって、有紗は当日に会いチョコを渡すことにしたのだ。

買い足しもしないし手料理を振る舞う予定もない、決して高くもないが一応大輔のことを思いながら選んだものだ。

気持ちは入っていると思う。

「はい、大輔。」

会って早々車の中でチョコを渡すと、大輔は目を丸くして固まった。

「バレンタインのチョコ。甘いもの、そこまで苦手じゃなかったよね?」

「ああ、うん。」

「どうかした?」

呆気にとられたように反応が鈍い大輔に有紗は首を傾げる。

もしかしてこれだけかと思われているのだろうか、そんな不安が過ったがそれはすぐに解消された。

「いや、ちょっと嬉しくて。」

拳で口許を隠しながら大輔は有紗から受け取った紙袋の中を覗く。

昨日の仕事中に女性社員から事務的なチョコレートを渡され今日がその日だと知ってはいたが、まさかこんなに立派なものを貰えると思っていなかったのだ。

ビニール包装されたようなものとか、駄菓子のようなものとか、貰えたとしてもネタに近いものかと構えていた分嬉しかった。

この包装を見る限り有紗はバレンタインを意識して買い物に行ってくれたことが分かる。

自分のために選んでくれたと思うと、くすぐったい感情に包まれるのだ。

「ありがと。」

「あ、うん。どういたしまして。」