私は彼に愛されているらしい2

張り切って早足で向かう有紗に笑いながらみちるは見送って肩を竦めた。席を立った沢渡が近付いてくる気配を感じてみちるは体の向きを変える。

「珍しいですね、ここまでの残業なんて。」

「はい。少し手間取ってしまって。沢渡さんはいつも遅くまでされているんですか?」

「まあ、そうですね。」

「いつもお疲れ様です。寒いので風邪を引かないように気を付けてくださいね。」

「お待たせしました。」

当たり障りのない会話を切る様にして支度を終えた有紗が戻ってきた。

「早かったね。じゃあ、行こうか。」

「はい!沢渡さん、お先に失礼します。」

「お疲れ。」

手を振る沢渡に会釈をするとみちるも有紗に続いて大部屋から出て行った。

既に人の気配が薄い構内を歩きつつ2人のガールズトークは始まっている。

「今日って竹内さんはいいんですか?」

「仕事は人に合わせるものじゃないからね。本人が納得したら帰ってくるよ。」

「一緒に暮らし始めてどうです?お部屋は片付きました?」

「あんまり。でもその内遊びにおいで?その方が片付くかも。」

「あはは。じゃあ舞さんと一緒に押しかけます。」

静かな夜に響かないよう、極力声を落とし吐く息を白く染めながら駐車場を歩いていった。

日中は満車以上になる駐車場もさすがに半分以上は空いている。それだけ遅い時間まで残っていたということだと久々に駐車場に来た有紗は思った。

「有紗はどうなの?新居は見つかった?」

「えっ?」

ついさっきまで自分の中の悶々と戦っていた内容をつかれ有紗は息を詰まらせる。