私は彼に愛されているらしい2

けじめだと言う大輔の気持ちは分かるし寧ろありがたいと思った方が正しいだろう。

でも有紗の心の何かがそれを受け入れられなかった。

「ごめん、仕事に追われてて考えられていない。」

そこまで文章を作ったのに送信するのが躊躇われてため息が出る。

仕事を言い訳に逃げようとしているなんてまるでうだつが上がらない男の常套文句じゃないか。

細く長く息を吐きながら混濁する気持ちを浄化していこうと試みた。

ここで逃げては駄目だ。

「ごめん。見付けられていない。週末に話が出来るように見ておく!」

非を詫びて前向きであることも告げなければ大輔だって仕事を抱えて忙しい中連絡してきているのだから。

その思いだけで有紗は文章を書き直した。

決めたのは自分、その選択の責任も全て自分自身にあるのだと有紗は気合を入れる。

このため息が付きまとう生活でも大輔と別れようと考えていないのだ、その感覚を自分で信じたい。

「送信!」

週末まで時間はある。仕事もプライベートも回し方は基本一緒、忙しくてもやるべきことはやらないと。

以前言われた東芝の言葉を思い出して有紗は鏡の中の自分と向かい合った。

「笑え。」

ここで疲れを見せるなんて自分らしくもない。何があってもどんな状況でも周りに隙を作るようなことはしないのが持田有紗だ。

ここはまだ戦場だぞ。

「良し。」

自分の笑顔に納得をして有紗は残務の整理をするために作業場所へ戻っていった。