私は彼に愛されているらしい2

「どっかいい物件見つかった?」

ただそれだけの文章が載せられたメールを見て有紗はため息を吐いた。

時刻は21時少し前、今日も当たり前の様に残業をしてそろそろ切り上げようかと思っていた矢先のメールだ。

「物件なんて探してもないし。」

トイレで携帯を確認するとほんの数分前に大輔からメールが来ていたことが分かった。

そして、ため息。

最近では忙し過ぎて週末にしも会えていない。土曜日は昼近くまで寝てしまうから会うのはいつも夕方からだし、日曜日も友達との約束があればそっちを優先にしてしまう。

それはお互いの行動パターンなので特に不満を言われることは無かったが、明らかに付き合いだした頃よりかは2人でいる時間が減っていた。

だからだろう、こんな平日の夜に探りを入れてくるのは会話が出来ていないからだ。

「そんなこと考える余裕もないし。」

ポツリポツリと呟いてふと視線を上げると大きな鏡に映った自分と目があった。

「…何これ。」

携帯を片手に冴えない表情、残業続きの酷い時でもこんなに暗い顔をしていただろうか。

恋人と連絡を取っている様には全く見えない自分に余計ため息が出そうになる。

今のところ大輔との関係はあまり進展が無かった。

舞が言う様に有紗と大輔は結婚前提で付き合っていることになる、だから大輔が次へ進もうとすることは当たり前で寧ろ足踏みをする有紗の方に非があることは間違いないのだ。

少し前までは一緒に住むのも悪くないと思っていた。

しかし住むとなれば両親に挨拶に行くと大輔は言う、有紗にはそこが引っ掛かって前に進めなくなり同棲話も億劫なものになってしまったのだ。