私は彼に愛されているらしい2

顔を傾けて目線を合わせようとする早瀬からは父親の様な愛情を感じる。

くすぐったい気持ちを抱えて有紗はとりあえずの微笑みと共に頷いた。

「長く続くといいけど。」

「東芝さん!」

「持田さんは何て言うか少し残念だからねー。」

「君塚さん!?」

前からの攻撃と後ろからの援軍にまたいつもの愉快な時間が幕を開ける。

前に後ろに忙しい有紗を見つめて早瀬は楽しそうに笑いあげた。

「少しじゃないですよ、君塚さん。」

「ひどい!…でも残念加減を具体的に知りたいのでそこのところ詳しく教えてください!」

「その前に仕事してくれる?今ので設計変更とかあったでしょ、ちゃんと対応しといて。」

恥を忍んで頼んでみても軽くあしらわれるのはいつものことだ。

ショックよりも自分の残念さ加減を知りたい欲求が勝っていた為にここは有紗としても引けない場所である。

「いっ!今は歩いて席に帰ることが仕事です!」

「はいはい。」

だから続きをと言いたくても東芝はその隙を与えてくれなかった。

東芝を先頭に早瀬と並んだ有紗が続いていた形だったが、有紗はすっかり東芝の隣に陣取り飼い犬の様にまとわりついている。

次第に後方集団とは距離が出来、東芝と有紗は2人で先を歩いていく形になっていた。

言わば、これもいつもの光景だ。

「相変わらずいいコンビだな。」

「本当ですねー。」

いい天気だなと掛け合う様に早瀬と君塚が隣り合わせで2人の背中を見送る。