私は彼に愛されているらしい2

時に手を繋いだり、肌を重ねたり。

心は置いてけぼりにされていたとしても2人の中の一番の変化はそれに尽きると有紗は考えていた。

今まで友達関係を続けてこれた2人の間では一緒にいて苦痛になるということはない。当然のように2人で過ごす時間が少しずつ増えて、週末も2人だけの時間になるのまでそんなにかからなかった。

次第に有紗の世界は大輔に染まっていったのだ。

「持田さん、最近雰囲気が変わったね。」

同じグループのチーフ設計士、早瀬から突然話しかけられたのは工場からの帰り道だった。

「これはまさか、彼氏が出来たのかな?」

「まさかって何ですか、早瀬さん。」

驚くような事実と言わんばかりに話す早瀬に有紗の頬は膨れる。

年頃の娘を捕まえて聞く話題にしては意外性を求められても困るのだ。

「まさかだろ。持田さんには彼氏が出来ずに悪戦苦闘しているイメージしかない。」

「はは、そうだねー。」

「東芝さん!君塚さんまで!」

当然の様に話に入ってきたのは有紗たちの前を歩いていた東芝と、有紗の後ろを歩いていた君塚だった。

距離があっても共鳴し合う2人の会話に有紗は何とも言えない反抗心をむき出しにする。

「で、どうなの?」

牙をむく有紗を落ち着かせるような優しい声で早瀬は真相を尋ねた。

片眉を上げる大人の男に刺々しい感情は浄化される。

「…お察しの通りです。」

「おお!いつから?」

「…少し前から。」

「良かったね。大事にしなよ?」