私は彼に愛されているらしい2

確かみちるよりも1つ下で有紗よりも1つ上の先輩設計士に当たる、竹内の評価は隣の室である有紗の下にも届いていた。

有紗の教育係である東芝同様にエース設計士と並んで賞される片桐所属チームの設計士、他部署の扱いが上手くこの数年でどれだけのネットワークを作り人脈を広げてきたかは誰にも真似できない程のスゴ技だ。

かつて東芝と片桐が話していた場所に有紗も同席していたが、辛口の東芝が認めていたことは強く印象に残っている。

あいつは凄い男だ。

あの東芝にそう言わせた人物はいつの間にかみちるの思いを寄せ、2人は付き合うようになっていた。

それは周囲に大きな衝撃を与えたことを2人は知らないのだろうと有紗は思っている。

現に有紗に竹内を紹介してほしいと言って来ていた女性陣は、もっと早く紹介してくれていたらとよく分からない難癖を付けにわざわざ有紗を呼び出した位だ。

その紹介の願いは有紗は以前から断っていたことなので、どれだけ時間をかけても実現しなかったことも彼女たちは分かっていた筈なのだが有紗はあえて口にはしなかった。

その行き場のない感情を抱えた状況は少しぐらい分かっているつもりだから理不尽な状況だけど優しさを出してみたのだ。

しかし、その将来有望株のモテ男はついに身を固めることのなったのかと有紗は感心した。

「はあー…かっこいいな、竹内さん。」

みちるの心境を読んで支える辺りが大人の男性であると感じさせる。

スマートで、女性が喜ぶことをしてくれるなんてどれだけいい男なのだろう。

それは常々みちるから聞いていた話で思っていたことだが、ここにきても彼は裏切らなかったことにカッコよさを窺える。

「あんたたち付き合ってどれくらいだっけ?」

ふと疑問に思った舞が口にした言葉にみちるは苦笑いをした。

「4か月です。早いですよね。」

「ま、でもそんなもんでしょ。これだけ近くにいたんじゃ裏も表も分かるだろうしね。おめでとう、みちる。」