side:凜華


頭の中を、ぐるりくるり回り出したのはあの日のこと。フラッシュバックとはまた違うけど、そんな状況だ。


頬を伝って落ちる涙が、やけに冷たいように感じられた、それは温もりを失われて冷たくなったひなたの体温に似ている気がする。



「凜華・・・」


「ひなたは、私を庇ったから死んじゃった」


「・・・あぁ」


「私が殺したも同然なのに、誰も、私を責めなかった」


「───・・・」


「私は、悪くないって言うの。だから、それが苦しくてっ」



何だって、いつだって、私は結局ひなたに守られていただけだった。


強いとか、負け無しとか、そんなの周りが始めた勝手な噂の背鰭尾ひれな虚像だった。私は弱くて、子供だったのに。