牙龍 私を助けた不良 下




「桃華、大丈夫か?」


「わ、私は大丈夫だけど・・・」



私に抱き付いたまま、痛みに悶えている男を心配そうに見ている桃華の頭を撫でる。


すると。



「ーっいきなり何なんだ!?」



悶えている男が立ち上がりながら、私に向かってそう言う。


ソファーから落ちた拍子にぶつけたらしい頭を、さすさすと痛そうにさすっていた。



「蹴っただけだが」


「蹴っただけってお前──」



当たり前の事実を話すと、下を向いていた男がようやく私を見た。


男にしては長めの黒髪に、黒い瞳の綺麗な顔立ちをしていた。ただ、今は驚きを露にした顔になっているが。



「っな、なななな!?」


「・・・・?」


「桃華が二人・・・!?つーか、お前はっ!」