「桃華、大丈夫か?」
「わ、私は大丈夫だけど・・・」
私に抱き付いたまま、痛みに悶えている男を心配そうに見ている桃華の頭を撫でる。
すると。
「ーっいきなり何なんだ!?」
悶えている男が立ち上がりながら、私に向かってそう言う。
ソファーから落ちた拍子にぶつけたらしい頭を、さすさすと痛そうにさすっていた。
「蹴っただけだが」
「蹴っただけってお前──」
当たり前の事実を話すと、下を向いていた男がようやく私を見た。
男にしては長めの黒髪に、黒い瞳の綺麗な顔立ちをしていた。ただ、今は驚きを露にした顔になっているが。
「っな、なななな!?」
「・・・・?」
「桃華が二人・・・!?つーか、お前はっ!」

