ガサッと、ジャケットらしきものが投げられて落ちた音が遠くから聞こえて来た。


トクン、トクンと木藤の心臓の音が聞こえてきて、何故だか抗う気を喪失してしまった。


大人しくなった私の背を、木藤は安心させるようにゆっくり撫でる。その動作に、私は身体の力を抜いて、木藤に身を任せる。



「凜華。俺は、どんなお前でも受け入れたいと思っている」


「・・・・・」


「だから、お前のこと、俺に教えてくれないか」



ツーッと、涙が頬を伝った。


待っていたのかもしれない、と明瞭としない頭でぼんやり思う。今まで、誰も私の言葉を聞かなかったから。


温かい木藤の腕に包まれて、私はいつの間にか泣きたいような、嬉しいような気分になっていた。