伏せられた目に光が差し込んで、長いまつ毛の影を落とす。

いつまでもそれに見惚れていると睨まれそうなので、買ってきた漫画を読むことにした。


この時点で、不釣合いな私たち。

知的で分厚い本を読む彼と少女マンガの新刊をわくわくしながら開く私。


……ま、まぁ、今日は気にしないことにしておこう。




「ただいまー!!」


読むことに熱中していた私は、一瞬自分がどこにいたのかという認識を無くしてしまった。

綾香ちゃんは和希くんの隣にちょこんと座って、私が読んでる本のタイトルを覗き込んでいる。


「あ!それ、あゆみんの新しい本?」


「え!綾香ちゃん、あゆみん知ってるの?」