部屋着に着替えた彼は、保温ができる水筒を取り出し、そこからコーヒーを注ぐ。

これもバイト帰りのいつもの光景だ。


「ねえ、和希くん。東条路先輩に告白されたってホント?」


「ああ、そうだけど」


そんなあっさりと、さも当然かのように言うところは彼らしい。


「どうして断ったの?誰か好きな人がいる……とか?」


いくらポジティブな私でも、語尾の方は小声になってしまう。

もし、彼に好きな人がいたらどうしよう。


「そんなんじゃない。ただ、嫌いなだけ」



……え?