陽が傾いて廊下の電気が点くと、白々しいばかりで現実感が遠のく。
赤いランプが消えたとき、私は思わず呼吸を忘れた。
和希くんが手術室から出てきた先生に駆け寄ると、先生が何かを言って、和希くんが頭を下げた。
「『予断は許さない状態だけど、ひとまず危機は脱した』って。今から集中治療室に移すって言ってた」
和希くんの言葉を聞いた私と木下美波は、ふぅと息を吐き出す。
「2人ともありがとう。もうすぐ母さんが来ると思うから」
木下美波は立ち上がって、「じゃあまた来るね」と言い残してあっさりと帰っていった。
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