「ありがとう」
和希くんの言葉を聞いてから、彼女は私たちから少し離れたベンチに座る。
私は気まずくて握っていた手を離そうとした。
だけど……
「もう少しこのままで」
和希くんが小さく、弱々しく言ったから離せなくなってしまった。
ここに座るのは彼女じゃなくていいの?
私は彼女が来るまでの身代わりじゃないの?
……それでもいいんだよ。
それで苦しみが和らぐなら。
だけどどうして手を離してくれないの?
疑問符を抱えたまま、私たちは薄暗い廊下で赤いランプをただ見つめ続けることしかできなかった。
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