予想以上の痛みが胸を強く締め付けた。


和希くんは彼女を選んだ?


私は何もできなかった。
……何もしなかった。


もしかすると、2人の間に元々入り込む余地なんてなかったのかも。


あまりにも滑稽。


私はただ、すれ違っていた2人のキューピッドで、主役なんかじゃなかった。


「そっか……」


そう短く返答することしかできなくて、あとはずっと片付けに集中しているふりをしていた。


昨夜の雨のおかげでより透明感を増した空の下で、海に溺れていくような気がしていた。