「……佐々木……俺……」
和希くんが発した言葉は沈黙の中に投げられて、まるで波紋が広がるように私に届いた。
ねえ、陽菜。
わかってたでしょ?
どうなるかなんて。
言わなければ良かったことだってわかってるでしょ?
「早く行ってきなよ。誤解されたままなんて嫌でしょ?」
私の最後のプライドで笑顔を作るから。
行かないで、と言えない。
言わない。
「俺……行ってくるよ」
そう言って飛び出して行く和希くんの後ろ姿が消える。
ドアの音もアスファルトを蹴る音も消えると、そこに残ったのは遠くで鳴る雷だけだった。

