【完】るーむしぇあ。

演奏中、私は先生が話していたことを思い出していた。


『あのホールはね、ちゃんとした音を出すと、とても小さい音でもまるでスピーカーがあるみたいに響くんだ。

どこが音源かもわからないくらい……ホールが音を鳴らすんだ』



先生は懐かしそうに言っていた。

築何十年のこのホールは先生にとっても思い出があるのかもしれない。



……そして、最後の和音。


先生の言葉通り、ホールが鳴った。

指揮棒を下ろす先生の横顔が一瞬、にやりと笑ったように見えた。