「はっ……!」
そんな私たちのやりとりを見て、綾香ちゃんはクスクスと笑った。
私は恥ずかしさで笑って、その様子を見た和希くんは優しく微笑んでいた。
それだけで、なんだか色んなことが体からすっと抜けて行くような、そんな気がした。
帰り道。
私は少し先を行く和希くんを早足で一旦追い越して、そして振り返る。
「和希くん、コンクール頑張ってね」
今はもう、心からそう思えるんだ。
「……うん。もちろん」
どこかから漂うカレーの匂い、家から漏れる温かい光。
全部が優しい世界。
夕暮れの特別な時間。
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