顔を伏せながらキッチンに向かおうとしたのに、横を通り過ぎる時に腕を掴まれる。


「佐々木?」


「……」


し、視線が痛い。


「泣いてたの?」


……今はそんな風に優しくしないで欲しかったのに。

だってそんなこと言われると余計に悲しくなる。


「ダイジョウブ」


カタコトの日本語で掴まれた腕を振り切って、ようやくキッチンにたどり着いた。


氷水にタオルを浸して、それをぎゅっとしぼる。

それをまぶたに押し付けると、また危うく涙が出そうになって上を向いた。