彼は意味が理解できなくて無言なままの私の横に広げられた数学の教科書をペラペラとめくって、あるページを開いて机に置きなおした。


「例えばこの数列とかね」


「うわーすでにダメ……数字が並んでるだけで眩暈が……」


ため息と冷たい視線。

もう慣れてますけどね。


彼は呆れながらもスーパーの広告の裏に、五線譜を書き始める。

ますます意味がわからない。


1小節目に書かれたのは全音符。


「全音符の半分の長さの音符は?」