「だから今日は佐々木が美波を見つけてくれてよかった。ありがとう」


私が知らない和希くんと木下美波の思い出。

知らない繋がり。
知らない約束。
知らない場所。


和希くんが言った"ありがとう"って言葉が私に教えてくれる。

それが彼にとって大切なものなんだって。



ここでドアを開けて、『全然気にしなくていいよ。雨大丈夫だった?』なんて言えたらどれだけいいだろう。

こんな風に黙って部屋に閉じこもってることで、彼に心配をかけてるんだって分かっているのに。



……心配して欲しい。


私ってこんなに嫉妬深かったんだ。