【完】るーむしぇあ。

トランペットの音階が響く。


……ああ、この人、そんなに悪い奴じゃないかも。

あっさりと、そんな風に直感的に思った。


その音は夏色をした青空や、木々の鮮やかな緑をイメージさせる。

まっすぐで透明な音。

それは彼の本質を表しているような気がした。


それを聞きながら、私はいつものように基礎練習をしっかりしてから、コンクール曲の苦手な部分の克服に集中する。





「戻ろうか」


思いのほか集中していたから、いつの間にか陽は傾き、大ちゃんの楽器はすでにケースの中だった。


「尊敬する」


彼の謎の言葉に今日何度目かの疑問符を頭に浮かべる。