「佐々木?」


「あ、は、はい」


ドアの外にいたのに気付かれてしまった。

なんか盗み聞きしてたみたいで恥ずかしい。


恐る恐るドアを開けると、和希くんは楽器をケースに戻している途中だった。


「おねえちゃん」


綾香ちゃんの声は心なしか弱々しい。

ベッドを覗き込むと顔色も少し悪いように見える。


「綾香ちゃん大丈夫?」


「うん、平気だよ」


その強がりが心配で、和希くんの方をちらりと見ると苦笑いが返ってきた。