「あ、ついでに俺のもやっといて」
知らない間に私の横にいた爽がバットを差し出してきた
爽のバットのグリップはボロボロ
こんなになるまで練習したのかな??
この前見たときはまだきれいだったのに
まきなおした後バットを渡しに行った
二人とも新しいグリップの握りを確認していた
そんな二人を見て私までうれしくなってきた
こんなときにふとマネージャーやってよかったなって思う
練習が終わってからはみんなそれぞれ自主練
「水本ー!!」
この声はかっけだ
かっけの声がする方に行くとなんだか野手陣が集まっていた
「なにしてんの??」
そしてみんなの中にいるのは爽だった
「なんか爽が落ち込んでるからみんなで慰めてる」
爽が!?ちょっとよくわかんない
「なんかさ、自分が思うように打てないんだって」
私の横で康平が教えてくれた
またそれかっておもったけど爽にしたら相当なダメージらしい
それにみんなが励ましてるんだ
最初はいじめかって思ったけど(笑)
「爽もそろそろやめな
だいたい打ち過ぎなんだよ
たまには休憩しなよ」
だって何週間かでグリップがボロボロになるくらい打ってるんだもん
そうなに打ってるんだからいつかは打てるようになるよ
「うるせーよ!!
凜には俺の挫折がわかんねーだろ??」
爽が叫んだ
周りのみんなもびっくりして少し離れた
「わかんないよ
だって私はもとが雑魚いから
爽みたいに優秀じゃないからね」
私みたいな雑魚が爽の苦しみはわからない
「だったら黙ってろよ」
「でもさ、打てなくてどうしたらいいのかわかんないもどかしさなら私だってわかるよ」
「おまえと一緒にすんなよ!!
おまえみたいに気楽なもんじゃねーんだよ!!」
私だってそれなりにやってたのに

