ふと、気配を感じた。
今まで感じなかった、"人"の気配。

顔を上げればそこには。


…あぁ、私の欲しかったものはこれだったんだ。



……こちらに笑顔で手を差し延べる女の子。

「君は独りじゃないよ?
孤独に怯えるのなら、私の所においでよ!」

私は勿論、
「…はいっ!」


再び溢れそうになる感情を抑え、少女の手を取った。



名前も知らない、ましてや…初めて会う雨の中の人間だった。

それでもいいと思った。彼女は私の孤独を消してくれる、そんな気がした。




「今まで寂しかったよね。すぐに助けられなくて、ごめんね…。」

そう言って、薄い桃色の髪を濡らしながら、ずぶ濡れの私を…汚れるのも気にせずに、抱きしめてくれた。

初めての優しさ。
優しさって、こんなに暖かいんだ…。