人間は、いつも言う。妖怪なんていないと。雨女なんて、いないと―…。





―案外人間が思うことは外れて、妖怪はいるものだ。何故わかるか、それは私が妖怪…雨女だから。


もういい加減慣れてしまったが、雨が好きな人は中々いなく、天気予報が外れて雨が降ると、人々は嫌そうな顔をしてさっさと帰る。


だから雨の日は、誰もいなくて、店も閉まっている。私は雨女だから、雨の日にしか存在できないのに、誰もいないんじゃ話もできない。

「……。」


寂しくて泣いても、誰も気付くことは無く、涙は頬を伝い雨と混じる。こんな悲しいこと、あるだろうか。
「…っ…」


声を押し殺して泣く。だってもう誰にも届かない声だから。今更声を上げるほど愚かではない。