電話の傍まで行くと、
兄貴が鋭い視線で睨んでいた


保留音が静かな部屋に響き
俺は受話器を上げた



「はい……」


「さと?お前電話繋がらねぇーけど…」


「あぁ…で、何?」


「機嫌わりぃーな…ちょっと出て来いよ!」


「わりぃーけど今日はいいや……じゃぁな」


「待てよ!!」


「なんだよ?ったく…」


「じゃぁ、俺がそっち行くわ!」


「はい、はい分かったよ…外行くから何処?」


「昇の家の前にいる…」


「分かった行くよ」



そう言って電話を切り、
部屋に入った。




自分の足元に転がってる
携帯を見てため息をついた

「無事かよ……」



そんなにも力がなく壁に叩きつけたのかと思うと笑えてる自分がいた



「バカな男ですよ……」



そう呟きながら携帯を
ポケットに突っ込み外へ出た



3年前、俺は……
誓ったんだ


もう二度と、
恋愛をしない事を……



そして人のモノには手を出さない事を……



確かに誓っていた




なのに……


俺が久々に恋をした冷夏は


皮肉にも、
俺が苦しんだ恋愛と同じ



結婚している女だった