ウシロスガタ 【完】

俺の頭の中は


真っ白な世界から


今朝の冷夏からのメールが全て蘇ってきていた


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【でもさ、好きでもどうにもならない事もあるよね】


【好きでもさ我慢しなきゃいけない事とかってあると思うの。】



【だってさ、好きな気持ちなんていつ変わるかどうかなんて分からないでしょ?】


【ずっと…なんてないよ】


【じゃぁ、先のない恋愛だったら?】


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冷夏の今朝のメールの意味が俺に突き刺さり、力が抜けた


【何も答えなくていいから、何も言わないで…】


【最近、おかしいんだ…翔クンが頭から離れないの】


【翔クンが、好き…】


【言わないで!!何も聞きたくない!!】


【ばか、翔クンのばか……】






そう、浮かれていたのは俺だけだった


冷夏のメールを思い出せば、思い出すほど



とても悲しくて、全身の力が抜けたーーーーー



「俺……帰るわ」


そう、中西に一言だけ残し、俺は力を振り絞って腰を上げた



「さと……!!」



「………」



「待てって、どうしたよ…」


「………」



心が張り裂けそうで、中西の言葉に心が折れた



「冷夏は無理だよ……」



そう一言だけ残し、
俺はパチンコ屋からでて家へ向かった



「さとっ……!!」



そう、所詮こんなもん。



俺だけが、一方通行に恋をして



俺だけが、冷夏の言葉に喜び1人舞い上がっていただけ……



別に終わったわけじゃない……



俺達は始まる事すら



ないのだから……