ウシロスガタ 【完】

「お前、声でけーよ」


「…ってかよ、冷夏チャンが好きって言ってくれたのにそこから進展なしかよ?
ありえねぇーだろ?」



「だってよ、冷夏がさ」



「本当にお前等はじれってぇ~な、お互いが好きで思いあってんなら付き合うだろ?」



「だから冷夏が俺は何も言わないでって言うんだよ」


「なんだそれ…意味わからねぇ~な」



「だからだよ、俺の気持ちは知りたくなかったって事なんだよ」



「でも言ったんだろ?」



「言ったよ……」



「それで進展なしなの?」


「そう…」



「お前なぁ…今日会って
ちゃんと話してみろよ?」



「あぁ……」




「はぁ~マヂじれってぇ~よな」



そう言いながら中西は
またスロットを打ち始めた。




“冷夏と付き合う……?”


正直、冷夏の気持ちが聞けた事で、


俺はテンションが上がっていてそんな事考えもしなかった



俺の彼女が冷夏……?



俺は、台の前に座りながら冷夏と自分の姿を想像していた



自分でも、顔がニヤつくのが分かり、咄嗟に隣にいる中西に目を移した



「気持ちわり~って!!」


「うっぜぇ~マジ!!」


俺のニヤついた顔を見られていた恥ずかしさで、中西を睨んだ



「この、変態がっ!!」


「あぁ…、変態さっ!!」



それでも、冷夏が頭から離れなかった



「またコクれよ?」


「うるせ~よ!!」


「冷夏チャン彼女だぜ?」


「だから、うるせ~って!!」



そんな会話をしてるだけで幸せで……



俺はニヤけた顔が元に戻らなかった