ウシロスガタ 【完】

「気をつけてね!!」



「でもよ…そんな事言ってさ帰りに事故に巻き込まれるかもだよな…?」



「はっ??何それ…」



冷夏が険しい目で俺を見た、



違う……睨んでいた



「だから、これで会うのが最後だとしたら俺、後悔しそう…」



冷夏がため息をつきながら、タバコに火をつけた



俺は視線を冷夏に移しながらも、黙る冷夏からすぐに目をそらした




冷夏が遠くを見る悲しそうな瞳を、見つめる事ができなかった




「そう言う事、簡単に口に出さない方がいいよ…」



それは、とても優しい声で



そして、いつまでも俺の心の中に響いた



「ごめん、でも…」



「翔クンのばーかっ!!』




いつしか、冷夏の甘い香りがタバコの煙にかき消されていた。




「帰るか!!!」


「うん!」




これで、終わりーー



冷夏を待ってる時間は、
すごく長くて…



でも、冷夏と一緒にいる時間は、誰かがいたずらしてるのかと思うくらいに、アッという間だった



“ずっと一緒にいたい”


そんな言葉を今ここで言えたなら



何かが変わるのか…



「翔クン?どした?」



「あ、ごめん!!ほら車、乗れよ!!」



「うん、じゃあね!!」



冷夏と一緒にいる時でさえ


冷夏の事をずっと考えてる俺はやっぱり



頭いっちゃったのかもしれない。




「着いたら、連絡くれよ!!あぶねぇ~から。」


「うん♪ありがとぉ…」



冷夏のとびっきりの笑顔を見て、俺も冷夏の後ろに停めた車に乗り込んだ。