《俺、店行こうかな…》


気付いたら俺は、そう送信していた



さっきまで、すぐに返信して来た冷夏からのメール止まり



待ってる時間はとても長くて、それでも自分が入れたメールに後悔なんてしていなかった



きっと、今の俺だったら
冷夏から営業されたとしても店に行きそうな自分がいる



あの時テレビの中で
バカにした客と俺は同じだ



むしろ…
今ならあの客の気持ちが
分かる自分もいた



――♪~♪~♪――



「冷夏……」



俺の目の前で鳴り続ける携帯をしばらく見つめて



受信メールを開いた。



ボタンを押した瞬間に中西の言葉を思い出した



“お前をただの客として
見ているなら店に誘ってくるだろうし…”



そんな中西の言葉がちらつきながら、おれは思い切って目を逸らしていた携帯を見つめた




≪は??なんで急に??≫




冷夏からの返事を見て胸を撫でおろしながら返信ボタンを押した



≪そうじゃねぇと冷夏に会えねぇじゃん≫



そう返事をした俺の気持ちは鈍感な女じゃない限り悟られているだろう……。



≪そっか…≫



≪だから、店行くよ!!≫



お金なんて惜しくない…



冷夏の顔を見れる事が出来るなら……



テレビで見ていた客と同じようになったっていい、



冷夏に会う事が出来るのなら。