帰りの車の中は、同じ人間が乗っているとは想像もつかない位に静かで、誰一人、起きてる奴なんていなかった



「…ったくよ。俺だって、ねみぃ~よ…。」



俺は渋滞に紛れ込みながらも襲ってくる睡魔と闘っていた



俺を唯一、睡魔から助けてくれていたのはガンガンにかかってる音楽だけだった




――ピッ!!!――




流れ出した歌があまりにも切なくて咄嗟に飛ばした俺がいた



全然、動こうともしない
渋滞の中……



《メチャクチャ渋滞こいてるよ》


そう冷夏に送信した



――♪♪~♪~♪♪――



かかっているCDと俺の設定している着うたが同時に流れて顔をニヤつかせた



《渋滞?辛いでしょ…大丈夫?》



《かなり眠いけどな、頑張るよ!》



《寝ちゃダメだよ?危ないよ~!帰ったらゆっくりしてね……》



「ありがと…」



俺はいつからメールに話しかけるようになっちゃったんだろうか……



冷夏への伝えられない思いをメールにはせずに




言葉にしちゃう俺がいた。



“よし!動き出した!!”

ブレーキから足を話すと
同時に中西が俺の方を見ているのが視線で感じた



「おい!起きてたのかよ」


「…………。」



返事がない中西を
俺はチラっと見てまた前を向いた



「シカトかよ?中西っ…!」



「てかよ…お前さぁ~頭やばくねぇ?」



「はっ?」



「今さと…メールに話しかけたろ?」



一瞬で恥ずかしさが込み上げ中西を睨んだ




「アハハハッ!本気で惚れたな~?こんな、さと見たことねぇよ!アハハハッ!!」




「うるせーって…あんま調子に乗るとここで降ろすぞ?」



「アハハッ!ごめん、ごめん!だってよ、マヂさと変わったよ!」



「…………。」



「冷夏チャンと上手くいくといいな……」



中西の言葉が、
素直に嬉しい俺がいて……



冷夏の事を考えると変に
ドキドキしていた