思い出していたーーー
気持ちを伝える前……
冷夏に逢った後はいつも、うしろ姿を見ずに俺も振り返っていたんだ。
次に逢う約束なんてなくて
怖くて……
冷夏のうしろ姿を焼き付けてしまったら
その姿だけが脳の中を支配しそうで見届ける事なんて出来なかった……。
だけど、付き合い始めてからは、冷夏のうしろ姿を必ず眺めていた。
しっかり冷夏のうしろ姿でさえも見届けたいと思っていたから。
全てを焼き付けていたかった
それは、また逢う事が出来るから。
そして、冷夏は自分の車に乗り込む前に必ず振り向いてくれる。
俺が見ていることを知って照れくさそうに笑って手をふるんだ……。
一瞬だけ寂しさ襲う俺の気持ちを笑顔でふっ飛ばしてくれる。
その姿が大好きだった。