―2か月後―。



「はぁ、マジもう二度とこねぇ!」


「まぁまぁ、しょうがね〜よ、なんせ誰かさんパワーがもうねぇ〜んだもん後は負け続けるのみ!」


「てめぇ〜、それ以上言ったら中西マジでぶっ殺す!!」



「なんなら、名前でもだしましょうか?」



「てめ〜って奴は……」




“ったく、コイツだけは……”




パチ屋の中から外に向かう中西の背中を見ながら後ろに続く俺は、かなりパチ屋に貯金をしイライラしていた。



「うぉ〜!さぁ〜みぃ〜!!」


「うおっ、さみぃって……」



外に出た瞬間、風がすっかり冬の匂いがしていた。



“んっ……?”



その風と共に、流れてきた匂い


懐かしい、あの愛しい人の香り


俺を安心させるあの……。



それは一瞬で、消えて行った。




「……い……か」



「あ?」



俺の声を聞き、中西も俺と同じ方向に自然と目を移す……



「さとっ!!!」



痛い……



俺の腕をおもいっきり掴み中西が引っ張る。


いや、それよりも俺は胸のが比べ物にならないくらい痛い……



「さとっ、行けよ、早く!!」



俺より、何倍も焦ってる中西に静かに首を振った。




「なんでだよ、俺っ冷夏チャンにこの前会ったんだ、泣いてた、ずっと好きでいるんだって泣きながらひきつって俺に笑って見せたんだ」



真剣な顔で、俺に伝える中西を見て、首を振り続けた。




俺は冷夏のうしろ姿を見つめていた。