ベッドの上で、小さくなって座り携帯を開き冷夏専用のフォルダーを見つめる。



まだ、どこからか零れおちてくる滴が画面を塞ぐ


それを自分の洋服でふき、もう一度画面をしっかり見つめた。




ここに、今まで俺たちが繋がっていた証、たくさんの愛が詰まっている。




俺たちの育んできた愛……



それは俺の心だけではなく、小さな機械の中に記憶されている。



俺は、サブメニューのボタンを押し“削除”の項目を出し手を止めた。



“フォルダー内全件削除”



その文字だけが目に飛び込んできて、俺の心に痛みを走らせる



いっそのこと、このフォルダーの中のメールと共に、俺の中の記憶も消えてくれれば……



そんなことを考えながら、俺は、おもいっきり目つぶり削除ボタンを押した。



“削除しました”



ゆっくりと開いた視界の中に、その文字が見える……




急いで、そのフォルダーを開くと俺たちの記憶されていた全てのものがなくなっていた。



「れいかっ、れい……か」



俺はひとりでは、溢れ出す涙をぬぐい切れず……


静かに涙を流しつづけていた。



握りしめている携帯にはもう、俺たちの愛の記録などない。