何度も作っては消しを繰り返しながらも、送信したメールはあっさりしたものだった。



たった数秒で、このメールが冷夏へと送られる。



たったこの一通のメールで俺たちは終わりを迎えるだろう。


本当に世の中、便利になってしまったもんだ



メールというものが、この世の中になかったら、きっとこんな嘘をつくことはなかっただろう。


大好きな人を目の前にして“冷めた”なんて言えることが出来るほど仮面をかぶれるような人間じゃない。




冷夏に初めてついた嘘



それは、一番つきたくない嘘





一番悲しい嘘……。





でも、これでいいんだ


冷夏が俺を嫌いになってくれたら


それで、俺はいい。





ーー♪~♪♪~♪ーー


大好きな着うたが流れる……



もう、この冷夏の好きな曲の指定メール音を聞くのもこれが最後かもしれない。


そう思うとその音楽が流れている間ずっと聞いていた



冷夏指定の着信音


それが、止まると同時に俺の指は自然と動き、携帯を強く握りしめる



このメールがきっと俺たちの全てを終わらせる……



深くため息を声と一緒に漏らしながら、受信メールを開いた。



白い画面に、黒い文字が書かれている


その画面が少しだけ震えながらどこから落ちてくるのであろうか雫で見えずらくなって行く



俺は何をしてしまったのだろう?

飾りもなにもない殺風景なメール。



それは冷夏の強がりを意味している。



それは俺たちの終わりを……


《分ったよ、今まで幸せをありがとう。翔クンと出逢えたこと忘れない》




その画面は一瞬で、俺の目から流れてくるもので視界をふさいだ。